神経症とは
神経症は昔はノイローゼとも呼ばれ、比較的よく知られた心の病気になります。ただ、よく知られているわりには、神経症の定義にはいろいろあって、これといった明確なものがありません。あえて言うならば、「精神的な要因で不安が生じ、それがうまく処理できないために心身の機能障害が起こってしまう症状」ということになります。
ストレスやショックなど精神的・心理的な原因で発症することが特徴です。ただし、パニック障害などのように、そうした要因がなくても発症するものもあります。いずれにしても、神経症は心の根底に「不安」があり、その不安や恐怖が過度に高まってしまった結果、他の精神症状が生じたり、身体症状が生じたりするのです。
神経症の症状
神経症は、中心となる症状によって、以下のようなタイプに分けられます。
- 不安神経症・パニック障害
- 恐怖症(恐怖神経症)
- 強迫神経症
- 心気症(心気神経症)
- ヒステリー
- 離人神経症
- 抑うつ神経症
これらを総称して神経症と呼んでいます。いずれのタイプの神経症も、共通しているのは不安が心の根底にある部分です。
神経症の症状は、精神面では、あまりにも不安が強いために緊張したり、イライラします。また、過剰な恐怖感を持ったり、強迫的な考えにとらわれたり、また気分が落ち込んだりします。身体的にも症状があらわれ、不眠になったり、動悸やめまい、呼吸困難、吐きけ、ふるえなどに悩まされます。これらの症状によって、日常生活に支障をきたすこともありますが、それでも一般的には精神面の症状はそれほど重くありません。
神経症は精神的な要因で発症するといいましたが、それ以外の要因(パニック障害、強迫神経症、恐怖症)で発症するケースもあります。
神経症の原因
神経症は遺伝的な原因があるともいわれていますが、ほとんどは性格的な要因で発症すると考えられています。弱気と強気の両方の要素を持つ性格の人が、神経症を起こしやすいといわれており、「責任感が強いけれど劣等感を抱きやすい」「忍耐強いけれど融通が利かないところがある」「思いやりがあるけれど不安に敏感」といったような、長所と短所の両方の要素を同じくらいの割合で持っている人が神経症を起こしやすいともいわれています。また神経症について欧米で知られる人の特徴としては、困難に直面したときに敏感に反応してしまう人です。自分の感情をコントロールできなかったり、ストレスを上手に対処できなかったりすると、神経症に陥りやすいと言われます。またイライラしやすい、不安を抱えやすい、欲求が強いなども神経症になりやすい人の特徴です。
治療について
神経症の治療はカウンセリングが中心となります。薬は、不安やイライラ、あるいは不眠を改善するために、あくまでも対症療法として使用されます。
主に神経症に対して使われる薬は、抗うつ薬と抗不安剤です。抗うつ薬は、もともとうつ病に対して処方される薬であるものの、神経症に対しても効果があると確認されています。そして抗不安剤は、不安を軽減する薬として使われ、鎮静したり、筋肉の緊張を和らげたりするほか、眠気作用などの働きがあります。